1997年12月

 我が家には、俵万智さんの『サラダ記念日』をもじってひとつの短歌があります。
「けんちゃんが おべんとからっぽできたから 九月十九日はおべんと記念日」
四月の入園以来どんなに好きな物しか入れなくても どんなにちょっぴりしか入れなくても 全部食べきれなかった顕がはじめてからっぽ出来た日 担任の先生からお電話まで頂いてしまいました。
 そして今回新作が加わりました。
「じゅんちゃんが お池に柵ごと落ちたから 十一月三日は どぼん記念日」
池の鯉はびっくりしたでしょうが 潤自身は全然懲りなくて今日も頑丈にできた新しい柵越しに遊んでいます。でも深さ一メートルはある池、たまたま見ていたから走っていって私も池に飛び込んでひっぱり上げられたけど 誰も見ていない時だったらと思うとぞっとします。なにしろ池の中で逆立ち状態の潤を 足からひっぱり上げたのですから。まったく巨大な虚弱児のくせに いろんな事をやってくれる息子です。

 毎年大晦日の晩 住職の中学時代からの友人達が家族連れで集まってきます。だいだい五〜六家族総勢二十人弱。まだ皆若くて独身だった頃は飲み屋さんみたいな所で集まっていたみたいですが、みな結婚して家族も増えたのでここ三年ほど我が家に集まっています。
 個々に会うことはあっても皆がそろうのは年に一回か二回、もうマンネリだと言いながらけっこう皆この日を楽しみにしています。奥さん達も最初は『旦那の友人の奥さん』として知り合ったわけですが、いつしか位置が逆転しちゃって『私の友達の旦那達』となってしまって、旦那抜きで平日の昼間あったり頻繁に電話しあったり。
 そういえば顕の幼稚園で知り合ったお母さん達もいつしか『○○ちゃんのお母さん』としての付き合いよりお母さんどうしの付き合いのほうが密度が濃くなってしまって。
 そうやってどんどん友達が増えるのは嬉しい事だけど 昔からの友達とどんどん疎遠になってしまうのは悲しい事です。独身時代何かにかこつけてしょっちゅう会い くだらない事で電話しあっていた友人達が 皆それぞれ結婚して家族を抱え住んでいる所も離れてしまって、私自身も自分の事におわれて気がついたら一年に一回年賀状だけの付き合いになってしまって。
 お寺なんていうとんでもない所にお嫁に来ちゃった私を除いても 今は皆仕事に子育てに一番忙しい時だから昔のように深夜の長電話もしづらくついつい疎遠になってしまいます。今年も年賀状を書きながら電話でさえ話す事の無かった懐かしい友人達の顔を思い浮かべながら少々感傷的になってしまいました。でも細々とでもつながっていればいつかまた会える日もあるでしょうと そんな日を楽しみに待つことにしましょうか。

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