1997年9月
暑く長い夏休みが、やっと終わりました。休み癖がついちゃったせいか 通園バスの時間が変わって登園時間もお帰りの時間も遅くなってしまったせいか 顕が幼稚園に行くのを嫌がるようになってしまいました。毎朝なだめて脅してむりむり通園バスに押し込んで。「一時だよ。ペ−スが戻ればまた元気に幼稚園に行くよ。」って言われますが、「ああ早くその日よ来ておくれ」って心境です。
潤は体調も体力もすっかり回復して、あの悪夢のような三ヵ月は何だったんだろうという感じです。良く食べるし いたずらもすごいし もう何の心配もいらないようです。
潤ちゃんの今一番気にいっている遊びは、お池に何でもポイポイしちゃう事。小枝もおもちゃもサンダルや靴まで。でも潤ちゃん お願いだからお兄ちゃんの電池の入っているピカピカ光る靴と 出来ないと思うけどトムちゃんはポイポイしないで 後が大変だから。
私は生まれつき大変不器用な人です。手先の事がとっても苦手なんです。子供の頃は工作がどうしようもなかったし、編み物も洋裁もなんとか出来上がっても 自分自身でさえ二度と見たくない物ばかり。だから結婚する時に持たされたミシンも せいぜいジ−パンの膝当てか雑巾ぐらいにしか役に立ちませんでした。
それが顕の入園が決まって怒濤のように押し寄せてきた作らなければいけない品々。やれ絵本袋だコップ入れだお着替え袋だなんだかんだ。そのうえ皆お揃いのスモックと上履きは 字が読めなくても自分の物が解かるように、「お母さんの愛情のこもったアップリケ」なんかを付けるようだし。
どうしようと真剣に悩んでいると 世の中有り難い人がいるもので 「材料と幼稚園からのプリントいっしょに宅急便で送ってくれれば作って送り返してあげるよ」と言ってくれる友達があらわれたんです。彼女自身専業主婦だけど五歳二歳一歳という三人の子持ちでけっして暇な人じゃないのに。ハンパな数じゃないから申し訳ないと思いつつ 甘えて作ってもらっちゃいました。
でも彼女は長年の付き合い、私の事もとっても良くわかってくれている人だからそう言ってくれたんだと思ってたのに、それがまだ何回も会っていない顕のクラスメートのお母さんがやっぱり材料を持っていって 水筒まで入れられるお弁当用の手提げ袋を作ってくれた時は、もう有り難くって有り難くって。
おまけにその手提げ袋ときたら水筒が倒れないようにゴムが付いていたり、食べ終わった後どんなに乱雑に入れても中から物が飛びださないように手提げなのに巾着風だったりして。幼稚園用お弁当袋として特許を取りたいほど良く出来たもので。
洗い替えまで作ってくれたから二人して五年間大事に使わせてもらうつもりだけど、なんて世の中良い人がいっぱいいるんだろう なんて私って友達に恵まれているんだろうってほんとうに感謝でいっぱいでした。でも「良い人達に囲まれているのは 私の人徳かしら」ってウキウキしている私に、「あまりにもどうしようもなさそうで ほっとけないんだろ」と言ったのは誰でしょう。
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