1992年8月

 6年間のペーパードライバー生活を捨て、自動車の運転を始めました。前と後に若葉マークをつけ、制限速度をきっちり守って、世間の迷惑になりながら毎日むりやり用事を作って乗っています。
 先日、スーパーの駐車場に入ろうとした時、道路の縁石にぶつけて、タイヤをパンクしてしまいました。スペアタイヤのしまい場所も道具の場所もわかりません。おろおろするばかりのどうしようもない私を見るに見かねて、見知らぬ、子ども連れの男の方が助けてくださいました。
 「地獄に仏」とはまさにこんなことを言うのでしょうか。子どもに「ママとおんなじだねー」と笑いかけながらタイヤを取り替えてくださったその方に、半ベソだった私は、ただただ頭を下げてお礼を言うことしかできませんでした。
 うちに帰って、住職さんにこの話をして、「今度こんな人がいたら、私の代わりに助けてあげて下さい」とお願いしてしまいました。

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