2003年9月

 長男顕がこのごろよく食べるようになったとは思っていました。でもこんなに大きくなっていたとは。四月からの五ヶ月間で身長にして四センチ、体重五キロ。お洋服はだいじょうぶだったのですが、ダメなのは靴。あわてて上履き買いましたよ。でも二四センチの上履きってかわいくな〜い。
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 うちがお寺だからでしょうか。本当にいろんな人が来ます。純粋にお寺に用があって来られる方がほとんどですが、あまりありがたくない人も。
まるで季節ごとのように三〜四ヶ月ごとに来る、おもらいさんのおじいちゃん。でもこの人はおなじみさんだから、「あーこの冬も乗り越えられたね、元気そうだね」という感じで平気なのですが、けっこう体格のいい五〇〜六〇歳代の男の人に「仕事にあぶれたので、いくらでもいいからお金をください」なんて来られると、ちょっと怖い。暴れられたりたら嫌だから、早く帰ってほしいと思っちゃう。昨日来た男性二人連れは「ガソリン代を貸してくれ。免許証をコピーしてかまわないから。来週前借り出来たら絶対に返すから」って免許証を差し出しながら頭を下げる。
 そういえば一年くらい前にも同じ事があったっけ。やっぱりガソリン代を貸してくれと言って免許証のコピーも取ったけれど、返ってこなかった。もともと期待はしていなかったけれど、もしかしたら、なんてちょっと思っていたから・・・。
 金額も同じ。もしかしたら何かマニュアルとかつながりがあるのかなと思いながら、渡してしまいました。だって下手にさからって子どもたちやおばあちゃんに何かされても怖いし、住職はいないし。
 不況不況と言われ続ける時代。でも都心にはニョキニョキと新しい建物が建ち、外国の有名ブランドショップが次々とオープンしているってテレビでは言っています。子ども達や大人になりきれない人達がとんでもない事件を起こし、ホームレスと呼ばれる人達も、二〇歳代の人から見るからにお年寄りまでさまざまだと聞きます。
 どこかで何かが狂ってしまった時代。昨日、私はどうすればよかったのだろう、あれで良かったのだろうか、免許証のコピーを見ながらまだ考えています。

(直子)

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