2003年3月
はじめて原稿料というものをいただきました。アルバイト料やお給料は何度ももらったことがありますが、原稿料というのはちょっと別物で。
一万円から一割税金を引かれて九千円。何か記念になる物を買うにはちょっとさびしい金額だし、かといってそのままおサイフに入れてしまったら、いつのまにか無くなってしまいそうだし。どうしようかな、とまだ現金書留の封筒のまま、かざってあります。
原稿が載ったのは『築地本願寺新報』。
ポピンズの坊守日誌を読んだ事のある方の推薦で原稿依頼がまいこみました。私にはムリですとお断りしたのですが、住職がお酒の席でたのまれて勝手に引き受けてきてしまいました。
それからはじまった苦闘の日々。
ポピンズは延立寺の御門徒の方々や御縁のある方々に向けて書くので、皆さんのお顔が見えます。でも築地本願寺新報となると、浄土真宗の方へ向けたものだとは分かりますが私にとってはあまりにもバクゼンとしていて。何度書いてもうまく書けないし、おもしろくないし。やっとこれならと思って住職のところにもっていくとあっさり却下されちゃうし。締切の翌日、だいぶ住職の手を借りてなんとか形にして送りました。
そうなると気になるのは反響。
しばらく誰からも何も言っていただけなくて、けっこうさびしい思いをしていたけれど、住職があるお寺の前坊守のお通夜に伺ったとき、同席した山梨のお寺の住職から「夫婦で読んだよ」と言っていただいて、ちょっとうれしかったりして。
それからまたしばらくして、母が京都で行われた寺族婦人の集りに参加して、何人かの人から「直子さん書いていましたネ」と言っていただいたという話を聞いて、坊守さん方はけっこう読んでくださったんだとうれしくなってしまって。もう二度とコリゴリだけど、いい経験したなと思っています。
でもやはり腹が立つのは住職のこと。
うちの住職はお酒の席で頼まれるとなかなか断れないようです。二年務めて、もう終りだったはずのPTA会長もお酒の席で頼まれて、もう一年やるはめになってしまったし。今度住職が飲み会に行くと言ったら、背中に貼紙しようかしら。「酒席でのお約束は無効とさせていただきます」って。
(直子)
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